2009/03/11

シンガポール自然観察ハイキング!!

 深夜0時過ぎ。

そこへ降りると「ムゥ」っと蒸し暑い。
すぐに、肌から汗が噴出す。まさに、熱帯夜だ。

ここは、シンガポール空港。飛行機に乗る前はダウンを羽織っていたのが嘘のように思える。7時間と40分。赤道直下の国へやってきた。今回は、「都市の木の花図鑑」の著者である石井誠治先生と行く「シンガポール自然観察ハイキング」だ。

送信者 シンガポール自然観察
「マクリッジにて」

しかし、どうしても「シンガポール=自然」というイメージが沸いてこない。きれいに整ったビルが林立し、道路にゴミ一つない整備の行き届いた都市。マーライオンに、ブランド物を安く買えるデパートがあって、、といったイメージだ。自然やジャングルというイメージはとても描けない。正直なところ6日間もシンガポールで何ができるのかと思ってしまった。

だが、大都市からすぐアクセスできる熱帯ジャングルがたくさんあり「都会」と「自然」がうまく共生している。むしろ他の都市では一時間ほどで本格的な熱帯ジャングルへ行くことはできないかもしれない。ジャングルを堪能した一時間後にはホテルでシャワーを浴びることができるのだ。
送信者 シンガポール自然観察

「ココナッツジュース」で一息。。

まず、観光後、シンガポールの植物園へ。日本の熱帯植物園とは違いここは誇大な屋外で一つ一つ観察しやすいように分けて植えられている。現地に住んでいる「日本人会」の宮下ひとみさんに案内して頂いた。

宮下さんは「マクリッチ自然保護区で出会う樹木たち」をまとめた本の撮影を担当されており現地事情を知る心強い方である。そこに樹木医である石井先生の熱い解説がさらに場を盛り上げる。

公園には日本では見られない植物だらけだ。さらに、とても大きいものたくさんがある。葉っぱ一つにしても本当に大きい。これだけで興奮するが、そこに「なぜ、こんな形をした実があるのか?こんな大きさなのか?こんな色なのか?」など、先生より質問を投げかけられる。そして、興味をそそるようなわかり易い解説が入り、気がついたら先生の講義に没頭していた。なかなか「歩」が進まない(笑)夜には、「果物の王様」ドリアンの花を見た。ドリアンの花は夜に咲き始め、朝になると短い生涯を終える。なんとも言えない切なさを持つ白い花だ。

送信者 シンガポール自然観察
「ドリアンの実」


おやつには「カヤトースト」を頂いた。カヤトーストとは、カヤ(日本ではカヤジャムと呼ばれることがあります)をトーストした薄いパンにぬり、バターの薄切りをのせてサンドしたもの。

これが、マジうまい!!トロッとしたココナッツの甘みとバターがトロッととろけ塩味のスパイスが絶妙!

カヤは、卵、ココナッツミルク、砂糖とパンダンリーフ(香り付けの葉)から作られる。半熟卵とローカルコーヒー(コンデンスミルク入りの甘いもの)と一緒に食べるのが一般的でシンガポールでは朝食やおやつに人気メニューだ。

送信者 シンガポール自然観察

見てください!この大きな葉っぱ!


翌日は、「マークリッジ貯水池」へ。

ここは、地元の人しか訪れない静かで自然なジャングルが体感できる。一つ一つ丁寧に観察する。一歩歩く旅に植物の神秘が明かされていく。

「ゴムの木」はなぜゴムを出すのか?

木はなぜ実をつけるのか?

なぜ、木の幹に実がついていたり、枝の先っぽに実がついていたりするか?

などなど、話が尽きない。机の上では退屈になってしまいそうな事柄も「生」を見ながら聞くと面白い。途中、座布団3枚!!っていう「ジョーク」も飛び出し、テンポ良くメリハリつけながら植物の不思議を楽しく学べる。先生は、専門的なことを専門用語ではなく一般市民にでもわかり易く、かつ面白く語る。そして、話を聞いていると「イメージ」が膨らむ。話題は広く、詳しい。。。



ジャングルからすぐ街中へ帰れる。

シンガポールの観光の目玉「マーライオン」
送信者 シンガポール自然観察
 
送信者 シンガポール自然観察


今回は「落雷」でマーライオンがケガをしたため修復中であった。
そのマーライオンの前で先生の気象学の授業が即始まった(笑)
なぜ、「入道雲」ができ、「雷」が発生し、「マーライオン」が壊れたか?、、を僕たちが実感を持てる言葉で語ってくれる。今まで、興味など持っていなかった事柄に突然興味が湧き出し、何か「マジック」にかかったようだ。それぐらい楽しい講義だ。



次の日は、ウビン島へ。

ここも地元の人しか行かないエリアでシンガポールとマレーシアの間にある自然が多く残った小さな島だ。ここでは、マングローブ林など汽水域に生存する植物やフルーツ園を散策した。「フルーツ」だけは市場で見たことあっても「木」を見たことがないものが多かったがここで実物に出会い感動。
夜は、本当に帰り、ウビン島がよく見渡せられる「イタリアンレストラン」で夕日を見ながらディナーを堪能。たわいのない話で盛り上がった。

送信者 シンガポール自然観察

「マングローブの木」ちょうど潮が引いています。

最後は、「サザンリッジ」という新しい観光名所へ行った。ここは、ボードウォークという橋が樹林帯の中を通っており、目の前で樹木の上の方の様子が観察できるものだ。熱帯では樹木の背が高く、双眼鏡で何とか眺め観察するだけだが、ここでは「目の前」で見れる。

ここで特におもしろかっただったのが、、
「Simpoh Air」
送信者 シンガポール自然観察
「シンポエアーの花」
花は黄色く目立つ。とてもきれいだ。

送信者 シンガポール自然観察

これが実。思わず最初は花かと・・・

一度見たら絶対忘れられない・・・・

実は、黄色い花が咲くといったんがくが閉じてしまう。

そして、じーっと35日待って、36日目に花のような実が開く。

これは、「赤い花」のように鳥に見せることによって鳥に来てもらい「種」を運んでもらうんだとか、、植物は子孫を残すためにいろんな工夫をしてそれぞれ実をつける工夫をする。この「Simpoh Air」は作戦がうまくいっているらしくこのあたりでたくさん繁栄していた。

シンポエアーの「シンポ」はナタで木を切るときの擬音語。「エアー」はマレー語で水辺を意味します。道路沿いとか、気がつくと色んなところで見られますよ。葉っぱは、大きいので、昔は物を包むのに使われていました。

こんな解説を先生が情熱的に何度も語って頂けるので植物の世界が楽しくてたまらなくなってきた。。

2009/03/01

小笠原諸島☆父島観光

「東洋のガラパゴス」


といわれる小笠原諸島。東京から船で南へ約25時間1000km。

大陸と一度も陸続きになったことのない「海洋島」と呼ばれ、地球上で小笠原にしかいない「固有種」と呼ばれる珍しい植物や鳥が多く生息する。これらは島で隔離され独自進化を遂げていったものが多く、中には「絶滅危惧種」に指定されている貴重な動植物も存在する。

日本の中で最も「秘境」と呼ばれるのにふさわしい存在だ。ヨーロッパやアフリカへ乗り継ぐ飛行時間よりも長く遠い。一生のうちに一度は行ってみたいところベスト3に入るであろうその小笠原へ出かけるチャンスがやってきた。

冬には、ザトウクジラがやってきて、イルカやマッコウクジラがやってくる。特に3月はザトウクジラの繁殖シーズンを迎え観光客で盛り上がる。ザトウクジラは他のクジラに比べこの時期は島の浅いところに多く「ジャンプ」を披露してくれたり「潮吹き」を見せてくれたり船と遊んでくれたりするので比較的観察し易い。シーズンとなれば、小笠原へ向かう船の中からも見ることができるほどだ。そんな期待を胸に心弾む。

送信者 Ogasawara

「おがさわら丸」

 早速、竹芝桟橋より乗船し出向し東京湾を出た矢先船が大きく前に後ろに同時に左右に傾く。予報によると前線が八丈島あたりに停滞しているようだ。

かなり揺れた船も前線を抜け落ちつき始め25時間の長旅は小笠原の島影が見えはじめた感動にかわる。父島が近くなったころ甲板に上がって見ると、何やら盛り上がっていた。歓声の先をみると、、

「いた!!」

ザトウクジラが「潮」を天高らかに気持ちよさそうに噴き上げている。かなり遠くからでもそれは確認できる。港が近くなる頃には、それなりの数を確認できテンションが自然とあがる。

父島の二見港へようやく到着。さすがに南国だ。上着を脱ぎ、Tシャツとなる。まず、昼食をとることにした。港から五分、メインストリートと父島の繁華街であるボニンストリートは、一周り10分もあれば巡ることができ迷うこともなく島の「島寿司」やチャンプルや島野菜を使った料理、ウミガメ料理と出会うことができる。
送信者 Ogasawara


午後は、島内観光へ。
「父島タクシー」のドライバー小松氏だ。早速バスへ乗り込むと、、

「あ!先ほど船で、、」

隣に座っていた人が実は私たちのドライバー&ガイドさんであった。島に帰ってすぐ仕事とは頭が下がる。まず、「三日月展望台へ」案内してもらう。ここは、船に乗らない人がクジラウォッチングする場所としても有名だ。視界が開け、真下には、「ボニンブルー」と呼ばれる小笠原の青い南国のきれいな青色の海が輝く。ここで景色を眺めているだけで時間の流れを忘れてしまいそうな展望台だ。

送信者 Ogasawara

三日月展望台にて。。クジラの潮吹きが陸から観察できる。

 その後、「宮の浜」→「長崎」→父島最高峰「中央山(319m)」→「小港海岸」→「農業センター」と父島を車で一周し、ハイキングを各所でした。山へ入ると、タコの足のようなタコノキ、赤い花をつけるデイゴ、オオハマボウ、ムニンシャシャンボ、ムニンネズミモチ、いい香りがするムニンビャクダン、白い花をつけたシマシャリンバイ、ヌニンノボタン、葉痕に八の字を逆さにした模様がつくシダ植物のマルハチ、ホタルブクロみたいなものをたれ下げたセイロンベンケイソウ、グミの実がついたオガサワラグミ、葉から芽がでるハカラメ、海岸に見られるハスノハギリなど他にもたくさん植物を観察できた。頭に「ムニン」とつくと「無人」という意味でありもともと無人島であった小笠原を指し固有種であることがわかる。

送信者 Ogasawara

「オカヤドカリ」注意の看板

 小笠原では、日本で絶滅した「鳥」の12種のうちの8種が小笠原で絶滅したそうだ。ここの鳥は、人間が入ってくるまで他の種との生存競争が緩やかだったため、人によって持ち込まれた「外来種」が入ってたちまち絶滅に追い込まれてしまうことがある。移入種の侵入に驚くほど弱いのである。イソヒヨドリ、メジロ、「ホーホケキョ」と言えないウグイスなど観察をし、絶滅危惧種アカガシラカラスバト、小笠原で唯一の哺乳類オガサワラオオコオモリと出会えることに期待。。

送信者 Ogasawara

「長崎展望台」より

また、小笠原で固有の鳥がどう進化してきたか、小笠原諸島の歴史、戦跡が今の多数残っていること、植物の由来、ノヤギが小笠原固有の植物に与えている影響、、などいろいろ楽しい解説付で楽しんだ。

送信者 Ogasawara

「境浦ファミリー」湧水が沸いている素敵なお宿。ジャックマイヨールもお気に入りだったとか。。

小笠原諸島 ホエールウォッチング&南島上陸

今回のメインイベントでもある「ホエール・ウォッチング」と「南島」
12月から5月くらいまで繁殖のためにやってきたザトウクジラが小笠原の浅い海へ集まって来るため比較的観察しやすい。子クジラは深海へ行くとサメなどの危機にさらされるためあまり行きたがらないのだ。これは僕らにとっては観察の絶好のチャンスとなりシーズンとなればクジラ目当てでたくさんの観光客がやってくる。

送信者 Ogasawara

「ホエールウォッチング」

ガイドのNorikoさんと桟橋で合流し、船に乗り込む。出発10分。早速、前方に「ブロー」をしているクジラが見えてきた。「潮吹き」だ。皆、歓声をあげ、興奮する。大型船で見るのとは違った迫力がある。

側に寄ると、逃げない。それどころか一緒に船についてくる。まるで船と一緒に遊んでいるかのようだ。

「プシャー!!」

と勢い良く「潮」を吹き上げ、頭を見せ、背びれ、最後に尻尾を上げる。皆すごい歓声だ。クジラも歓声を楽しんでいるようにも見える。小笠原が返還以前の「小笠原」を知る島に10人しかいない大ベテランの船長さんによると、船の色が好きだからついてくるんだとか。。この船は他の船と違って「ピンク」だ。白とかグレー、黒の船より圧倒的にクジラ”ウケ”する(笑)

クジラをたっぷり眺め、満足したところで南島へ。しかし、ここは、上陸するのが非常に難しい島らしい。入り口が狭く風と波の方向と潮の満ち引き具合では行けないことも結構あるそうだ。実際に、入り口まで行かないと入島できるかできないかはわからずハラハラドキドキする。
 
 入り口まで行くと、波は高かった。皆、後ろの安全なところに移動させられる。波のタイミングに合わせ、島で唯一のジェットエンジンがうなり急発進。一気に安全なラグーンへ入った。

送信者 Ogasawara

南島のボニンブルーが広がるラグーン内。。船と一緒に。

 南島にもちろん港などなく、岩を登り上陸!!まさに、映画のワンシーンのような「無人島上陸」だ。少し歩くと、火山のカルデラの中のような地形に入り、眩しく目が開けられないほど真っ白な無人の砂浜が広がる。

「わああああ!!」

「思わず息の呑む美しさ」とはまさにこのことだ。それを今!体験している感動が体の細胞一つ一つに広がる。扇池まで歩く。ここの島は、石灰岩でできた沈水カルスト地形で一年に三ヶ月ほど立ち入り禁止期間があり東京都認定ガイドの同行がないと入れない貴重な自然環境が残った島だ。扇池を眺めながらお昼を食べる。時の流れが止まったようななんとも不思議な感覚を覚える。

送信者 Ogasawara

南島「扇池」

 気がつくと、今度は船で父島と兄島の間にある海中公園に向かっていた。途中、大きな水しぶきが何度も見える!

「あ!!クジラが跳ねた!!」

「ブリーチング」だ。大きくジャンプすることを言う。船を飛ばし接近。船長が言うには、南島に行くときに一緒に船についてきたクジラだそうだ。今度はジャンプで演出してくれた。30~40トンもある体が海面に叩きつけられるとき物凄い爆音が海面に広がる。
 そして、何度も「テールストラップ」をしてくれた。これは、尻尾を餅つきのようにバッタンバッタンさせる。水しぶきが上がり大迫力!テレビで見る映像とはやっぱり違った。映像で見たときは「声」など出なかったが、自然に感動で声が出てしまう。五感すべてで感動をできる喜びが満足感に変わる。

 かなり寄り道をしてしまったが、大満足し海中公園へ向かう。ここには、多くの魚や珊瑚が見られる。今回の船はグラスボートなのでシュノーケリングしない人でも海の中の様子を楽しむことができる。船長が餌付けをすると海蛇やウツボ、サメ、多くの熱帯魚を見ることができた。


動画:ホエールウォッチング!!潮吹き「ブロー」→ジャンプ!「ブリーチング」→餅つき「テイルストラップ」

小笠原諸島 母島☆乳房山登山

「ははじままる」で父島から二時間。母島へ向かう。小笠原へ何度か通う人には、「父島派」と「母島派」に別れるそうだ。同じ小笠原でも特徴が異なり実際に行ってみないとどちらが好きになるかはわからない。どちらかと言うと父島は都会。母島は田舎だ。母島は、「野ヤギ」がいなく人口も父島に比べると少ないので自然が多く残っており、「メグロ」を代表する固有種が多く見られる。今回の目的は、小笠原諸島で最高峰にあたる「乳房山(462.6M)」だ。海抜0Mから歩くのでそれなりに登山を楽しめる。そして、上の方に行くとここでしか見られない多くの植物や運がよければ、非常に数の少ない「アカガシラカラスバト」に会える可能性もある。

送信者 Ogasawara

鬱蒼としたジャングル。垂れ下がる根っこはガジュマル。

 「乳房山」のガイドは早川保氏だ。自分で誌を書いたり歌を歌ってくれたり、鳥の鳴き声の真似して「ウグイス」や「メグロ」をおびき寄せることのできる凄腕ガイドだ。道中、徳利の形をしたトックリヤシ、ハハジマノボタン、メグロ、和田アキコと覚えてワダンの木、ホシツルラン、サンスベリア、ハカラメ、テリハボク、オガサワラビロウ、モモタマナ、ギンネム、ムニンシュクラン、ムニンヤツデ、ムニンノボタン、ガジュマル、ムニンウツボラン、ムニンモチ、エビネビロウなどいろいろ歌と解説を交えながら面白く教えて頂いた。


ガイドさんの早川氏。鳥を呼ぶ。

 山頂からは、石門の絶景を眺めることができ、記念に版画式の色塗りを作成しこれを下山後登頂証明書として提出すると正式な「登頂証明」がもらえる。

送信者 Ogasawara

石門の絶景!霧の合間から姿を現しました。

 宿泊は、「クラフトインラメーフ」というおしゃれなロッジ。食事は、島で一番の高級魚「オナガダイ」の刺身や「島野菜のサラダ」「海亀の煮物」など品のいいお皿に盛り付けられ一層華やかに演出され楽しませてくれた。

送信者 Ogasawara


 翌朝、島の自由散策し、「ははじま丸」で島を後にする。この船は別名「ホエールライナー」とも呼ばれ、時期となればクジラをたくさん見ることができる。そして期待通りクジラ君達が姿を現してくれた。大きく「ブロー」をして、たまに、「ブリーチング」をしてくれる。雄大な自然を感じることができ日本の海にも都会の生活と隣り合わせにこんな時間が同時に流れていることをうれしく思う。


「あ!イルカ!!」

一瞬だったが、イルカの姿を見ることもできた。名残惜しい。もう一航海滞在したくなってくる。しかし、都会の生活をしながらもう一週間は長い。父島のスーパーで島の特産品である「ラム酒」や「レモンジャム」「小笠原の塩」「島唐辛子味噌」「島トマト」などを買い込み再び「おがさわら丸」へ乗り込み、小笠原を後にした。今東京は雪が降っているとか。どこか遠くのニュースを聞いているようだ。

「お!クジラの潮吹きだ。。」